晴天の霹靂とはこのことだ
と
僕はその時思いました
猫背のおっさんは言います
「ハイシャにした方がいんじゃね?」
あまりの事に、僕はこう思いました
「いえ、虫歯はありませんが?」
そうです
この間、車検に出したところ
愛車クラウンの廃車という、血も涙もない審判が下ったのです
どこもおかしいところなんてなかったのに
車検に出してすぐに戻ってきてくれると思っていたのに
突然の廃車宣告
こんなに、まだこんなにキレイじゃないですか!
大事に扱ってきたんですよ!
俺は整備士のおっさんの胸倉をつかんで叫んだ

「すまねぇ・・・すまねぇ・・・」
おっさんはただ下を見て呟いた
俺は空を見上げた
曇った空に、今までのクラウンとの思い出が走馬灯のように駆け巡った
宿敵鴎インプレッサとの首都高バトル・・・
怨敵早坂チャリとのチキンレース・・・
気になるあのコを乗せて、海沿いをドライ・ヴ・・・・・・
全部美化されて俺の脳裏を駆け巡った
経験していない事も駆け巡った・・・
まだ、まだこいつは走れるんすよ・・・
こんなに元気なんすよ・・・
俺はおっさんに訴えかけた
俺の口からは気がつけば血がでていた
隣で早坂は笑っていた

「こいつは精一杯走った・・・走ったんだよ・・・おめ、もう休ませてやるんだべよ!」
おっさんも泣いていた
ひっぐぅぅぐっ・・・うっぅ
まだだ、まだこいつは走れるんだよぉぉぉぉ
最後の方は声と呼べるものではなくなっていた
俺はただ現実から逃げていた
クラウンがいなくなってしまった後の世界を直視できなかったのだ
だって新しい車買ったとしても、それが来るまで電車通勤ってチョーつらいしぃ
さらに新しい車買うのにもまたお金かかるしぃー
てゆうかレンタルビデオ屋、車でしか行けない場所なんですけど
明後日までなんですけど
という考えが俺の心を支配していた
早坂は腹を抱えて笑っていた
ヘヘ、本当に大事にしているものこそ、ふっと一瞬でなくなっちまうもんなんだな
なんでもそうさ
TOP多摩のトイレ横の自販機
ウルトラコーラという炭酸飲料が売っています
その容器デザインが全部で九種
ウルトラ好きの僕は一瞬で虜になり
またなんでもその中でもレアなラッキー缶があるという
僕はその缶を見たくて
来る日も来る日も、コーラを飲み続けました
ひとりじゃ無理だ
仲間に協力を要請しますが
「は?やんねーし」
と、誰の協力も得られず、ラッキー缶をこの目で拝む為に
コーラを飲み続けていました
ラッキー缶の容器デザインのキャラクターは絶対ウルトラの父だと思っていました
練習中にコーラ飲んで、動きが悪くなって阿部コーチにシングル練習でボコられても飲み続けていたのに
ある日
相模大野の渡辺コーチのブログで、そのラッキー缶の容器デザインがウルトラの父じゃないと知ってしまったとき

燃え尽きたぜ
だけど、もうコーラ飲まなくてもいいんだ
と解放された気分です
でも今なんか飲みたいです

「おめぇさん・・・こいつはもぅ10万キロも走ってるんだよ!楽にさせてやんなよ」
うお
あ、そうだった、クラウン廃車の話しだった
10万キロ・・・
そうか
そんな走ったか・・・
あぁ・・・
歌が聴こえてくる・・・
♪
純白のボデーにスモークのかげり
金木犀の咲く道を
白銀の翼の車で駆けてゆく
20世紀のジャンヌ・ダークよ
俺の車は10万走行
高速を降りた最後の勇姿
俺の車は10万走行
地上を走った最後の天使
♪

ネタが古くないか!?