その日
仕事と練習を終えた僕と橋本先輩(コーチ)は
「腹減ったな・・・」
といつものようにデニーズにへと向かった
その先には
いつもと違う奇妙な世界が待っていた・・・。
雨上がり
生暖かい風が僕の襟足を撫でて行った。
湿気の多い梅雨の夜は
まるで体全体を毛布が包んでいるかのようで
気持ちの悪いべた付いた汗が、体の内側からにじみ出てきた。
「田頭ぁ~、何か食ってくかぁ?」
橋本先輩(コーチ)が言った。
「そうっすね、こんな夜は辛いものが食べたいっすね。」
僕はこれとなしにそう返した。
そう、この一言が・・・・・・始まりだった。
霧の立つニュータウン通りを走り
やがてぼんやりとデニーズの光が見えてきた
そのぼやけた光に向かって進む二台の車
そこが、いつものデニーズとは違うとも知らずに
僕と橋本先輩はまるで夜蝶のように光に誘われていった
辛いもの そしてデニーズ
とくれば食べるメニューは【香辣!!担々麺】で決まりだ
旨味のある辛さと、胡麻によるコクが最高で、スープの中には豚肉、筍など、様々な素材が入っているので、最後まで飽きずに食べきれる
さらにはご飯まで付いてくるという鉄板メニューだ
辛いものが食べたい!そう言っただけで
「じゃあ【香辣!!担々麺】だなぁ」
と橋本先輩が返してくるほどの鉄板メニューだ
言ってみれば、僕と橋本先輩は【香辣!!担々麺】を食べにデニーズに来たのだ
ギィィィッィ
(実際はティンコーン)
扉を開け、僕たちは席についた
その異変に気づくのに1分とかからなかった
メニューが・・・・・変わってね?
ざわ・・
ざわ・・・
しかも今回のオススメメニューは、なんと【世界のカレーツアー】
デニーズは辛いものを求めている僕と橋本先輩にとんでもない刺客を送りこんできた
しかも厄介なことに【香辣!!担々麺】も健在
新メニューもどれも美味しそうだ
迷う
どうしよう迷う
ここは先輩の出方を・・・

田頭・・・どうすんのさ・・・?
しまった!!
先手を取られた・・・。
さすが橋本先輩・・・
く・・・
ここは辛さを求める自分としてはやはり【香辣!!担々麺】か・・・?
しかしカレー、、、特にこれ、インドカレー、これなんか辛そうじゃね?
だが鉄板は、やはり【香辣!!担々麺】
・・ざわ
・・・ざわざわ
バカ!
俺のバカ!
そんな鉄板に支配されて勝てるか!
不合理こそ博打・・・それが博打の本質・・・
不合理に身をゆだねてこそギャンブル・・・
焼け!自分の安心を焼け!
正しいとなると人はとたんに疑わなくなる。
ましてその理でいつもメニューを選んできたとすればなおさらだ・・・・・・・・
理ある故に無防備・・・・
いけ!
ここは【インド風デリーチキンカレー】だ!
「俺はチキンカ・・・」
閃光!
ここで淳吾に閃光!
啓示!
僥倖!
チキンカレー?
チキン!?
チキンとつくもの、俺にとっていいことは何ひとつなかった
違うのか!?
ここは違うのか?

「・・・【香辣!!担々麺】で・・・。」
「進む」ことが強いときもある。
しかし今この状況で強さとは踏みとどまることだ・・・

「ククククク、キキキ、カカカカ」
橋本先輩は笑った
「雑兵の考えそうな理論、ロジック。だからおまえはチキンなのだククク
前向きのチキンならまだ可能性はあるが後ろ向きのチキンは可能性すらゼロ・・
新メニューがあるのにもかかわらず【香辣!!担々麺】という定石
+も-もない答え
しかし残念ながら・・・・・・・・・・その「定石」という地点が・・・・・・最も浅はかなのだ・・・ギャンブルでは・・・・!
ここは【インド風デリーチキンカレー】
王ならばチキンカレー クククク」
チキンカレー
本当にそうなのか・・
でも俺はスープが飲みたい
そう
最初、辛いものを食べたいと言ったが
それは辛いスープを飲みたいと言い換えることもできる・・・
カレーにスープはない・・
それにファミリーレストランのカレーがそんなに辛くできているとは思えない

甘くはないが・・・辛くもないはず・・・
そして並ぶ【香辣!!担々麺】 【インド風デリーチキンカレー】

キキキキキキ、さて頂くとしよう・・・
実食!
橋本コーチ実食!
止まる時間
背後にうごめく闇 死屍累々

そんなに辛くない・・・・

勝った・・・!
その時!
圧倒的 閃きっ・・・・・・・!!
閃光・・・・・・光が・・・・・・
橋本先輩の脳を刺す・・・・・・!閃く・・・・!この土壇場で・・・・!

七味ください・・・・!

七味・・・かけんの?マジ?
七味をかける先輩

辛くなりすぎた・・・
【香辣!!担々麺】も【インド風デリーチキンカレー】も
オススメっす
要はこれがいいたかったんです